G7伊勢志摩首脳宣言 原子力安全のための多国間協力 積極的な関与と継続的な強化を
G7首脳は5月26日と27日、地球規模の経済的および政治的な主要課題に対処するため伊勢志摩で会合を開催した。
首脳宣言では、より強固な長期の世界的成長の基盤を整えつつ、現在の経済的諸課題に共同で対処することを誓約する「G7伊勢志摩経済イニシアティブ」として、世界経済、移民および難民、貿易、インフラ、保健、女性、サイバー、腐敗対策、気候、エネルギーの分野において、強固で持続可能かつ均衡ある成長に貢献するためのコミットメントを発展させたとした。
同宣言では、不拡散および軍縮に関する課題は最優先事項の一つであるとして、「核軍縮及び不拡散に関するG7外相広島宣言」および「不拡散および軍縮に関するG7声明」を承認し、特に核兵器不拡散条約、化学兵器禁止条約および生物兵器禁止条約の普遍化に引き続き取り組むとした。
原子力安全および核セキュリティについては、国際的な原子力協力に関与する全てのステークホルダーに対し、強固な安全基準および基盤の促進と、原子力安全のための多国間協力の枠組みへの積極的な関与および継続的な強化を求め、核物質および他の放射性物質のセキュリティを引き続き優先するとした。
気候変動に関しては、2016年中のパリ協定発効の目標に取り組みつつ、主要排出国を含む全ての国によるパリ協定の効果的かつ透明性のある実施のための詳細ルールについて合意するため、技術的な作業に建設的に関与することを奨励。また、エネルギーの生産および利用が世界の温室効果ガスの排出の約3分の2を占めるという事実を踏まえ、エネルギー部門が気候変動に対処する上での重要な役割を果たさなければならないことにも触れた。
エネルギーについて、原子力は将来の温室効果ガス排出削減に大いに貢献し、ベースロード電源として機能するとして、原子力の利用を選択する全ての国に対し、独立した効果的な規制当局を含め、安全性、セキュリティおよび不拡散で世界最高レベルの水準を確保し、専門的な知見や経験を交換することを求めた。また、国際原子力機関(IAEA)、OECD原子力機関(NEA)および世界原子力発電事業者協会(WANO)などの国際機関を通じて相互協力と情報交換が行われることを歓迎するとした。
また、福島第一原子力発電所における廃炉および汚染水対策の着実な進展ならびに福島の状況に関する国際社会の正確な理解の形成に向けて、国際社会と緊密なコミュニケーションの下でオープンかつ透明性をもって日本の取り組みが進められていることを歓迎した。また、チェルノブイリ原子力発電所を安定的かつ環境上安全な状態にするためにウクライナと共同で取り組むことを再確認した。
G7各国首脳には安倍晋三首相より、福島県産の「会津ほまれ播州産山田錦仕込純米大吟醸酒」や宮城県産の「玉虫塗小物入れ」などが贈呈された。
なお、G7首脳会議に出席したオバマ米国大統領は5月27日、安倍首相と共に同国の現職大統領として初めて広島を訪問し、平和記念資料館の視察や平和記念公園の献花を行った。両者は、唯一の核兵器使用国と戦争被爆国の首脳として「核兵器のない世界」の実現に向けたメッセージを発出した。オバマ大統領は、被爆者である坪井直日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員らと言葉を交わし、岸田文雄外相より原爆ドームについて説明を受けた。