OECD/NEAピア・レビュー HLWの最終処分プロセス国際慣行に沿うと報告
経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)のレビューチームは5月30日、日本の高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分に関する取り組みに関するピア・レビューの結果を、資源エネルギー庁に報告した。同チームは結晶質岩・堆積岩における地層処分や処分場のサイト選定に関する専門知識を有する4名の外部専門家と3名のOECD/NEA事務局員により構成されており、資源エネルギー庁からの依頼を受け、5月24日から30日にかけて来日。24日に瑞浪超深地層研究所を視察し、25日にレビュー会合を開いて日本側のプレゼンテーションおよび質疑応答を行い、26日から29日にかけてサマリーレポートを作成した。特に科学的有望地の選定の位置付けや検討の際の考慮事項・手順に焦点を当て、諸外国の処分地選定に関する経験や知見に照らしてレビューを行った。
レビューチームの議長を務めたM.シーマンOECD/NEA放射線防護・放射性廃棄物管理部長は30日のプレスブリーフィングで、(1)最終処分法に記載されている処分場選定と追加された国の科学的有望地提示のプロセスは国際的な慣行と一致している(2)経済産業省が情報を提供し、自治体の受け入れ意思を各段階において確認するというのは国際的に受け入れられている地層処分の戦略に沿うものである(3)政策決定者、規制当局者、実施機関および国民の間で開かれた対話を行っていくことは重要であり、その対話はできる限り早い段階で開始して、選定のプロセスを通じてコミュニケーションを継続すべきである――と語った。また、プレスとの質疑応答では、「コミュニケーションとは文化であり、地域や国家などに固有のものである。各国に共通してこのやり方で伝えればよいという万能薬はなく、日本も他の国のやり方を真似するだけでは失敗する。日本は日本のやり方を模索していくことが大事だ」と述べた。最終レビュー報告書は今年7~8月中にOECD/NEAホームページにて公表される。
2015年5月に閣議決定した高レベル放射性廃棄物最終処分の新たな基本方針では、処分地選定調査の円滑な実現に向け、科学的により適性が高いと考えられる地域(科学的有望地)を国が示すこととしており、同年12月の最終処分関係閣僚会議では、2016年中に提示する方針を決定している。