電気協会、原子力の国際展開と学協会規格について考えるシンポ
原子力の国際展開と学協会規格を巡る課題について考えるシンポジウム(日本電気協会主催)が6月7日、都内で開催された。原子力関連の学協会規格・基準など、標準策定活動は、日本原子力学会、日本機械学会、日本電気協会が中心に取り組んでおり、原子力規制委員会では、これらの民間規格の技術評価を実施するとともに、先般来日したIAEAの総合規制評価サービス(IRRS)からの提言を受け、その活用のあり方について見直しを進めつつあるところだ。
シンポジウムでは、日立GEニュークリア・エナジー技師長の守屋公三明氏が基調講演を行い、同社によるABWRの開発と国内外展開の経緯を紹介し、海外展開に際しては、相手国規制に対する技術の適合性説明が課題となっていることなどをあげ、議論に先鞭を付けた。
パネルディスカッションで、電気事業連合会原子力部長の尾野昌之氏は、民間規格活用のメリットとして、改訂による最新知見の取り込みや、パブリックコメントを通じた透明性確保をあげた上で、今後、原子力発電所の再稼働審査の効率化に資する規格が早期に策定されるよう求めた。また、海外プロジェクトへの活用の観点から、守屋氏は、今後の規格整備活動の課題として、技術継承・技術力維持をあげ、改訂作業を通じて「絶えずリフレッシュ」していく必要を強調した。
これに対し、学協会の立場から、原子力学会標準委員長の関村直人氏(東京大学工学系研究科教授)は、民間規格を「優れた知見の取りまとめ」と評価した上で、「国際的な場でしっかり見える形でアピールすべき」と、さらに、機械学会発電用設備規格委員長の金子祥三氏(東京大学生産技術研究所特任教授)も、米国機械学会(ASME)とのクロスチェックを例に、海外の動向を注視し「国際的評価に耐えるものとすべき」などと、国際的基準に適うよう最新知見を取り入れていく必要を力説した。