文科省作業部会、原子力人材育成に関する今後の施策で中間取りまとめ
原子力分野の人材育成に関する文部科学省の作業部会が6月22日、昨夏からの審議を踏まえ、中間取りまとめを行った。福島第一原子力発電所事故以降、国民の不信・不安の高まりを受け、原子力分野に関心を持つ学生が減少するなど、優秀な人材の確保が厳しい状況となるとともに、研究炉の長期停止・老朽化や指導教員不足といった人材育成を巡る低迷が生じてきたことから、学界・産業界のヒアリングを通じ、今後の施策について議論してきたもの。
中間取りまとめでは、取り組むべき課題として、「将来必要となる原子力分野の人材の見通しの明確化」、「人材育成に携わる関係機関の連携」、「人材育成施策の継続性」、「人材育成で重要な役割を担う施設の老朽化対策や維持管理等」を掲げた上で、施策の方向性を示している。例えば、施設に関しては、放射性物質を取り扱えるホットラボや研究炉などは供用開始から何十年も経過し、老朽化対策や維持管理に多くの負担を要しているだけでなく、原子力規制委員会の新規制基準対応により停止を余儀なくされているという現状から、施設を有する各機関においては、早急な再開を目指し審査対応に取り組むべきとしている。さらに、文科省に対しては、新規制基準対応への支援とともに、必要とされる人材の量と質を踏まえ、今後の研究施設のあり方について、調査・検討を行うよう求めている。
また、国、大学、産業界、それぞれの役割を整理した上で、産学官連携のプラットホームとして2010年に設立された「原子力人材育成ネットワーク」がこれまで果たしてきた役割を高く評価しており、今後もこれを活用し、わが国の戦略的な人材育成の実現に向け、種々の活動が進められるよう期待を寄せている。
中間取りまとめを受け、作業部会では引き続き、若手教員・研究者の確保や雇用、原子力関連学科を持たない大学へのアプローチ、原子力分野における女性の活躍・参画、人材の国際化、初等中等教育段階の施策などについて議論していく。