原子力機構、ウラン廃棄物ドラム缶の非破壊測定手法がIAEA保障措置で運用開始
日本原子力研究開発機構は6月24日、人形峠環境技術センターでウランの製錬、転換、濃縮など、核燃料取扱施設の運転および解体により発生した多様なウラン廃棄物が入ったドラム缶中のウラン量を定量する手法を開発・実証し、IAEAの査察活動における保障措置用測定装置として運用を開始したと発表した。
本成果は、原子力機構が開発した高速中性子直接問いかけ法(FNDI法)と呼ばれる手法を用いた非破壊測定装置によるもので、ウランに極短い時間幅で少量の中性子を照射し、ウラン235の核分裂を誘発させた結果、放出されるわずかな量の中性子を計測してウラン235の質量を定量する。人形峠での実用化に向けた試験では、既に1,000体以上の実廃棄物ドラム缶の測定により、計量管理に適用できる精度・速度など、実用性が確認され、IAEAの査察活動における保障措置用測定装置としての運用が認められたとしている。
国内では、ウラン濃縮施設などから発生したウラン廃棄物が、200リットルドラム缶換算で50,000本以上保管されている(2013年度末時点)ほか、世界でも今後、施設の操業や廃止措置により、ウランを含んだ廃棄物や解体物が大量に発生することが想定されるため、本測定技術の実用化を通じ、原子力平和利用に向けた国際的貢献が期待できそうだ。
原子力機構では、東海村の核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでも、核燃料物質の非破壊測定法の技術開発に取り組んでいる。