岡原子力委員長 米国で研究開発および廃炉・廃止措置で意見交換
岡芳明原子力委員長は6月28日の原子力委員会で、6月13日から19日までの米国出張について報告した。エネルギー省(DOE)、ハンフォード・サイト、アイダホ国立研究所などを訪れ、米国原子力関係者と原子力研究開発、廃炉・廃止措置への取組について意見交換を行った。
DOE原子力エネルギー局は、アイダホ国立研究所をリードラボとして原子力エネルギー政策を推進している。軽水炉持続プログラムでは、60年運転からさらに20年の延長計画を表明したプラントが複数あり、材料の劣化、安全マージン特性、先進計測技術、過酷事故対策技術等を進めている。また、小型モジュール炉(SMR)の設計認証取得支援プログラムを2012年より6年計画(当初5年計画であったのを1年延長)で進めており、2023年の商業化を目指している。さらに、原子力技術の研究開発実証を組織化するGAINプログラムや、R&D予算の20%を用いて原子力エネルギー研究開発における大学向けプログラムなどを行っている。
DOE環境管理局は、1989年より核兵器開発施設の廃止措置と環境回復を行っており、全国107サイトのうち91サイトでクリーンアップ作業を完了している。また、水銀とテクネチウム99、セシウム137、ストロンチウム90の処理処分などの技術開発を行っている。その他、ハンフォード・サイトではプルトニウム生産炉等の廃止措置などが、アイダホ国立研究所ではEBR-IIのナトリウム処理などが行われている。
阿部信泰委員からの原子力発電所の運転を延長するよりも新規に建設したほうが良いのではという意見に対し、岡委員長は、原子力発電は初期投資が大きいため長く使っていくほど安くなることなどをコメントした。中西友子委員からの大学向けプロジェクトに関する質問については、大学ごとではなく68のプロジェクトごとに予算がつけられていると説明した。