東電福島第一廃止措置の進捗状況、内田新所長「長く続く廃炉の基盤を」
東京電力は6月30日、福島第一原子力発電所廃止措置の月例報告を取りまとめ発表した。
汚染水の増加を抑える陸側遮水壁(凍土壁)については、3月末より海側全面、北側一部、山側の部分先行箇所で凍結を開始したが、海側内外の地下水位差の拡大により遮水効果が認められたことから、6月6日からは山側95%で凍結を開始している。
2020年度の燃料取り出し開始を目指し、建屋カバー解体工事が行われている1号機では、昨秋の屋根パネル取外しに続き、9月からの壁パネル取外しに向け、原子炉建屋屋根上の小がれき吸引を5月末より行っているほか、6月14日には強風時の飛散防止のための散水設備設置を完了し噴霧試験が実施されている。
6月28日には、発電所構内の配電線が停電した影響で一部の設備が停止するトラブルが発生したが、汚染水の処理や陸側遮水壁の凍結、敷地境界でのモニタリングは再開しており、設備停止の影響は解消されている。
また、7月1日付で福島第一原子力発電所長に内田俊志・原子力・立地本部副本部長が、6月30日付で、福島第二原子力発電所長に石井武生・同ユニット所長がそれぞれ就任することとなり、Jヴィレッジ内で、福島復興本社の石崎芳行代表、福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデント、今回の異動に伴い原子力損害賠償・廃炉等支援機構に移る小野明・福島第一原子力発電所長の同席のもと、記者会見が行われた。会見ではまず、石崎氏が、福島復興に向け、「廃炉と福島第二の安全確保、そして復興本社とが正に『車の両輪』となって努めていく」などと、新所長への期待とともに責任全うの決意を述べた。福島第一所長を退く小野氏は、廃炉の着実な進捗の一方で、在任中、作業員に犠牲者が発生したことを「痛恨の極み」として、今後の廃炉作業が「安全第一」で進められることを改めて願った。これを受け、新たに福島第一所長となる内田氏は、「安心して働ける職場作り、長く続く廃炉の基盤を整備していくこと」を自身の使命として掲げた上で、「下を向くことなく前を向いて取り組んでいく」などと抱負を述べた。