規制委、検査制度改善に向け職員を米NRCに1年間派遣

2016年7月6日

 JIREIKOFU原子力規制委員会は、1月に受け入れたIAEAの総合規制評価サービス(IRRS)ミッションによる検査制度の改善に関する指摘への対応として、7月11日より概ね1年間、原子力規制庁職員5名を米国原子力規制委員会(NRC)に派遣する。派遣者は、NRCの臨時スタッフとして、NRC本部の他、イリノイ州やテキサス州などの地方局を回り、検査制度に関するマネジメント、現場での検査実務に携わり、知見を得るとともに技量の向上を図る。
 規制委員会では現在、IRRSによる勧告を踏まえ、2017年度からの一部施行を目指し、検査制度の改善に向け検討を行っている。5日の検討チーム会合では、新制度の運用に向けた論点として、米国における監視・評価体系「原子力発電所監視プロセス」(ROP)が取り上げられており、今回の派遣者らは、現地でROPの仕組みや運用手法を学ぶとともに、実際の検査や検査結果の評価プロセスに参加し、帰国後、これらの経験を他の職員とも共有するなど、検査制度改善のけん引役として活躍する。
 7月6日には、規制委員会庁舎内で田中俊一委員長による派遣者への辞令交付式が行われた。田中委員長は各派遣者に辞令を手渡した後、訓示を行い、先般のIRRSミッションを振り返り、国際的レビューを受け「規制委員会は第2の創生期を迎えている」などと、より実効性の高い規制を目指していく意欲を示した上で、派遣者らに対し「志を高く持って研修に励んで欲しい」と激励の言葉をかけた。
 これを受け、派遣者を代表し、古金谷敏之氏(長官官房制度改正審議室統括調整官)が挨拶に立ち、「責任の重さに胸が熱くなっている。現場で学んだことを制度に反映していきたい」と述べた。
 派遣者らは式終了後、記者団の取材に応じ、岸岡一彦氏(長官官房)は「現場に活きる情報をいっぱい集めてきたい」と、天笠いづみ氏(原子力規制部)は「現地の検査官と積極的にコミュニケーションを図っていきたい」と、それぞれ抱負を語った。