原子力人材育成ネットワーク 大型教育・研修施設の維持などを重点事項として報告
沢井友次日本原子力研究開発機構(JAEA)原子力人材育成センター長は7月5日の原子力委員会で、自身が事務局長を務める原子力人材育成ネットワークでの人材育成の取り組みについて報告した。
同ネットワークは産官学一体となった原子力人材育成体制の構築を目指して2010年11月に発足し、JAEA、日本原子力産業協会(JAIF)、原子力国際協力センター(JICC)が事務局となって、現在は26大学、13電力会社、7メーカーのほか、研究機関や国や地方の行政機関も含め73機関が参加している。初等中等教育、高等教育、実務段階人材育成、国内人材の国際化、海外人材育成の5つの分科会も含めてネットワーク会合を年間30回以上開催している。2014年8月には「原子力人材育成の今後の進め方について」で(1)学生の実験・実習・研究等に係る環境の確保(2)次代を担う原子力人材の確保(3)原子力国際人材育成の強化(4)初等中等教育段階の教育および一般社会人への教育――を今後の重要事項として進めていくことを提案。2015年4月には「原子力人材育成ロードマップ」で、特に国を挙げて取り組むべき重要事項として(1)研究炉等大型教育・研究施設の維持(2)海外原子力人材育成の戦略的推進(3)戦略的原子力人材育成のための司令塔の設立検討――を提案している。
文部科学省の原子力人材育成作業部会では2016年6月の中間取りまとめで、産官学の各機関が果たすべき役割の下、原子力人材育成ネットワークの場が果たしてきた役割は大きいとして、引き続き積極的な活動が行われることを期待するとしている。
岡芳明原子力委員長は、人材育成は若い人たちに向けてばかりでなく、仕事をする中で視野を広げつつ能力を伸ばしていくような仕組みも必要だと意見を述べた。