原産協会プレスブリーフィング 放射線健康影響の新たな知見紹介
高橋明男原産協会理事長は7月21日、メディアを対象にブリーフィングを行った。
同日発出した理事長メッセージ「放射線の健康影響に関する新しい知見と今後の科学的解明への期待」では、近年幹細胞と同じような性質を持つ“がん幹細胞”を起源とする新しい発がんメカニズムが放射線防護の分野でも注目されており、ICRPが2015年12月に新勧告で研究者に基礎研究の方向性を示したことなどに言及。今後放射線発がんに関する幹細胞生物学の研究がさらに深化すれば、どの程度低い線量・線量率であれば放射線損傷が蓄積せず、放射線リスクが生じないのか明らかとなる可能性があり、発がんに対する線量率しきい値の設定および生涯線量(1シーベルト)を廃止するというような、放射線防護における大きな発想の転換をもたらすことも考えられるとして期待を寄せた。
質疑応答では、文部科学省から高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体がまだ挙げられていない件について、5月の検討報告書でも選定が簡単ではないことは明らかであり、ナトリウム取り扱い経験がある日本原子力研究開発機構が主体となっていくのではないかとの見解を示し、今後の運営においては「まずは事業主体が責任を持ってしっかりやっていくことが大事である」と力を込めた。また原産協会の発電以外の原子力利用分野に関する活動については、関係機関等と協力しながら産業利用や医学利用を含めたパンフレット作成などを行っていることなどを紹介した。