SACLA 世界初の軟X線FELと硬X線FELの同時供給を実現
理化学研究所(理研)と高輝度光科学研究センター(JASRI)は7月22日、X線自由電子レーザー施設SACLAの「SXFELビームライン」を使用した最初の利用研究課題として、7月15日に東京大学の松田巌准教授らの研究グループによる実験を行ったことを発表した。
これまでSACLAは波長0.1ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)以下という世界最短波長の硬X線FELを発振する施設として知られてきたが、軟X線FELにも大きな期待が寄せられていた。このため、理研とJASRIは、SACLAのプロトタイプ機として活用された「SCSS試験加速器」も活用しながら、既存の広帯域自発放射ビームライン(BL1)で軟X線FELを発振するための高度化を進めてきた。波長30ナノメートル付近でのレーザー発振を2015年10月に確認し、その後の調整運転を経て、2016年4月にはBL1の正式名称を「SXFELビームライン」(SX=軟X線)としている。
SXFELビームラインは今後さらに調整を重ね、2016年秋以降は最短波長が12ナノメートル以下まで到達する見込みである。SACLAは、世界で唯一の軟X線FELと硬X線FELを同時に供給する施設として、触媒機能の解明やEUVリソグラフィのための基盤研究などをはじめ、学術・産業の発展に今後も貢献していくとしている。