量研機構・平野理事長が会見、「調和ある多様性の創造」目指し未来戦略策定へ

2016年7月28日

 QSTLOGO量子科学技術研究開発機構(QST)の平野俊夫理事長は7月27日、都内で記者会見を行った。平野理事長は、量子科学技術の研究開発強化を目指し、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の量子ビーム・核融合部門を統合して4月に新発足した同機構のロゴマークを発表するとともに、「調和ある多様性の創造」を標榜し現在検討中の「QST未来戦略2016」の骨子について説明するなどした。
 今回決定となったロゴマークは、一般公募の作品から職員らの投票によって選ばれたもので、同機構略称の頭文字「Q」を用い、未来・目標・夢・希望に向かって、勢いよく成長・発展・成功・飛躍していく姿をイメージしている。
 会見の中で平野理事長は、拠点や研究分野の壁を越えた研究開発における「調和ある多様性の創造」の実現を目指す未来戦略の策定に向けて、量子ビーム関連大型施設と臨床研究病院を合わせ持つ機構の強みをさらに強化し、「量子医学医療」の分野を創出していくことに意気込みを見せた。さらに、生命科学と理工学の融合に挑むバーチャル研究グループ「QST未来ラボ」の本格始動に向けた合宿勉強会など、研究者同志の交流にも努めていることや、成果の社会還元や情報発信の強化に向け、年度内に多数計画される施設公開やイベント出展・シンポジウムの予定についても紹介した。
 記者団との質疑の中で、平野理事長は、多様な学問領域が統合することの「わくわく感」を繰り返し強調し、分野間の対立や壁などの課題については、大阪大学総長の経験を振り返りながら、多くの研究者と直接対話する重要性などを述べた。