東電・福島第一2号でミュオン透過法による評価結果、燃料デブリの大部分は圧力容器底部に
東京電力は7月28日、福島第一原子力発電所2号機について、原子炉を透過する宇宙線ミュオンを利用した測定法により、燃料デブリ(事故により溶け落ちた燃料)の大部分は、圧力容器底部に存在するものと推定されるとの評価結果を公表した。
高エネルギー加速器研究機構他との協力プロジェクトによるもので、上空から飛来するミュオンを1m立方程度の測定装置(=写真、ⓒ東京電力)内に配置した2枚のパネル検出器(プラスチックシンチレータ)で検知し、ミュオン透過率から物質量の分布を評価するという原理だ。既に1号機で有効性が確認されている。
2号機では3~7月にミュオン透過法による測定を進め、圧力容器底部に燃料デブリと思われる高密度物質の影が確認された。測定結果に基づき圧力容器内物質量の定量評価を行ったところ、数十トン程度の不確かさはあるが、炉心域(シュラウド内)が約20~50トン(事故前の物質量は、燃料集合体が約160トン、制御棒が約15トン)、圧力容器底部約160トン(事故前の物質量は約35トン)と、燃料デブリの大部分が圧力容器底部に存在している可能性が示された。
福島第一廃止措置の中長期ロードマップでは、2018年度上半期にも初号機の燃料デブリ取出し方法を確定することとされている。
また、東京電力は7月28日に、事業環境の変化を踏まえ「持続可能な経営を図るための経営方針」を発表しており、その中で、福島第一廃炉の着実な実施に向け、わが国の総力を結集した体制構築や、日本原子力発電との連携強化を図ることなどがあげられている。