規制委、高浜3、4号で特定重大事故等対処施設の審査結果を初めてまとめる
原子力規制委員会は8月3日の定例会合で、関西電力の高浜発電所3、4号機において、新規制基準で求められるテロなどに備えた特定重大事故等対処施設につき、同社からの申請内容を「合格」とする審査結果をまとめた。新規制基準に係る審査で、特定重大事故等対処施設について審査結果がまとまるのは初めてのこと。審査結果は今後、原子力委員会と経済産業省の意見を求め最終決定となる運び。特定重大事故等対処施設の設置については、本体の工事計画認可(3号機:2015年8月4日、4号機:同年10月9日)から5年間の猶予が与えられている。
審査結果では、原子炉格納容器の破損を防止するために必要な(1)原子炉冷却材圧力バウンダリの減圧操作機能、(2)炉内の溶融炉心の冷却機能、(3)格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却機能、(4)格納容器内の冷却・減圧・放射性物質低減機能、(5)フィルタベント、(6)サポート機能――や、これらの機能を制御する緊急時制御室の設計方針について、適切なものと確認したなどとしている。なお、特定重大事故等対処施設の審査に関する公開資料は、セキュリティ確保の観点から一部が非開示となっている。
高浜3、4号機は、新規制基準をクリアし、それぞれ2月中に本格運転復帰、原子炉臨界にまで至ったものの、司法判断により両機とも停止中となっている。
また、同日の規制委員会会合で、関西電力美浜発電所3号機について、新規制基準に適合しているとする「審査書案」が取りまとめられた。同機は、11月に運転開始から40年に達することから、今後の再開に向けては、運転期間延長審査もクリアする必要がある。関西電力では美浜3号機に関し、法令で求められる特別点検を実施し、2015年11月に60年までの運転期間延長審査を規制委員会に申請している。