IRIDシンポ「廃炉の未来を担う」が開催、学生による展示発表も

2016年8月10日

 福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技術開発について紹介し意見交換を行うシンポジウムが8月4日、東京大学本郷キャンパス(東京・文京区)で開催された。国際廃炉研究開発機構(IRID)が毎夏開催しているもの。今回は、長期にわたる廃止措置に必要な人材育成を重要な課題ととらえ、「廃炉の未来を担う」と題し、展示セッション「廃炉コミュニケーション・ステージ」では、IRIDのプロジェクトに参画する企業の他、文部科学省のプログラムで研究に取り組む大学・高等専門学校の学生らによるパネル発表も行われた。
CRAWLER 展示セッションでは、原子炉格納容器の内部調査を行う「クローラ型遠隔操作調査ロボット」(=写真上)、「形状変化型遠隔操作調査ロボット」の他、燃料デブリや炉内構造物を遠隔操作で取り出すことを目指す「遠隔操作用柔構造ロボット」(筋肉ロボット)など、IRIDの技術開発成果が披露された。筋肉ロボットは、高線量下での作業を想定し、放射線耐性に優れた遠隔作業用アームを備え、2014年度の試作機では可搬重量約100kgの性能を達成するなど、福島第一廃炉中長期ロードマップで2021年内を目標としている燃料デブリ取り出し開始に向けて、期待される技術の一つとなっている。
KENDA IRIDによると、今回のシンポジウムには当初定員の300名を大幅に超す472名の参加申込みがあったほか、その内訳は大学・学会が約2割を占めており、今後の技術的課題の解決に向け、企業や研究機関とともに、こうしたアカデミアとの連携にもが持たれている。剱田裕史理事長(=写真下)は、閉会挨拶で、忌憚のない意見・提案を求めたいなどと次年度以降のシンポジウム継続に意欲を示した。