産構審総会で次年度経済産業重点政策が公表、福島の産業復興も

2016年8月24日

SANKOSHIN

産構審総会で「福島再生は重要課題」と強調する世耕経産相(中央)

 経済産業省は8月23日、概算要求の根幹となる2017年度重点政策の骨子を産業構造審議会総会に提示した。「福島復興の加速化/熊本の復旧・復興」と「エネルギー政策の再構築と地球環境への貢献」を基盤政策とし、「民間の未来投資を喚起するため、呼び水となる政策を総動員」することを掲げ、強化すべき施策群を述べている。総会に出席した同審議会の各分科会長からは、他省庁との連携、経営者の育成、中小企業の活性化、海外からの投資呼び込みなどに関する意見や、先の内閣改造で安倍首相が打ち出した「働き方改革」に関連して、女性の委員からは、育児だけでなく介護に伴う負担増を見通し、経産省が先導を切って労働環境整備に取り組むべきとする声もあった。
 また、同日の会合では、福島県における産業復興の現状について経産省より説明があり、原子力災害被災12市町村の事業再開率は22%にとどまっているほか、県の有効求人倍率も1.46(2016年1月)と、宮城県の1.33、岩手県の1.19を上回っているなどと、労働力不足も周辺被災地に比べ深刻な状況が浮かび上がった。
 一方で、事業・生業の再建、雇用の創出につながる企業立地の促進に向けた戦略的取組も紹介され、例えば、産業団地や住宅団地の整備が進展し、企業誘致にも積極的な広野町では、東京に本社を置く子供用化粧品メーカーのレイスが2018年内の稼働を目指し立地を決定するなど、新しい産業の誘致に成功している事例もある。さらに、被災事業者への支援に官民一体で取り組むべく昨夏に創設された「福島相双復興官民合同チーム」では、これまでに4,000を超える事業者を個別訪問し、専門家によるコンサルティングを行い、事業再開・販路開拓が実現するなど、成果を上げている。