Japan-IAEAマネジメントスクール 大飯発電所など見学
沢井友次日本原子力研究開発機構原子力人材育成センター長、上坂充東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授、北端琢也若狭湾エネルギー研究センター福井県国際原子力人材育成センター長は8月23日の原子力委員会で、7月11日から27日にかけて東京大学と福井県敦賀市で開催された「Japan-IAEA Joint原子力エネルギーマネジメントスクール」の結果について報告した。
今年度のスクールは、13か国から17名の研修生のほか、日本からも15名が参加。福島第二原子力発電所での事例やプラントメーカー3社によるプレゼンテーションなど日本の知見や良好事例を取り込んだ講義のほか、関西電力大飯発電所、三菱重工業神戸造船所、敦賀原子力防災センターなどを見学する充実したテクニカル・ツアーを盛り込んだ。前半は原子力政策等の講義中心の座学、後半は学習内容の理解を定着させるために関西で施設見学を行い、研修生自身で考えるためのグループワークで総括した。研修生の選考や修了試験などの実施でスクールの高い質を確保したほか、福井県3校の高校生との英語での交流やマネジメントスクール卒業生との同窓会で多彩なコミュニケーションやネットワーク構築の機会も設けた。また、中国からも講師を招聘してアジア地域色も打ち出した。
外国人研修生にとって種々の施設見学は、日本の原子力技術に直接触れることができる良い機会であったとし、特に今回は、日本の原子力導入や大飯発電所立地の経緯などは導入国にとって参考になり、職員の安全を第一に日々運営を行う姿勢に感銘を受けていた様子が語られた。グループワークでは今年度新たに、論理的な思考をサポートする「Data Jacketを用いた市場型ワークショップ(IMDJ)」を導入し、研修生が熱心に議論に参加することで国際的なリーダーシップを身につけるための意義ある研修となった。
岡芳明原子力委員長は「関係者の努力でこれだけ続いているのは素晴らしいこと」として、今後は規制側からも参加者が増えることを期待した。原子力人材育成ネットワークでは来年度も日本で6度目となるスクール開催を予定している。