関西電力、高浜1、2号の60年運転に向けた安全性向上対策工事計画を公表
関西電力は9月8日、高浜発電所1、2号機の60年までの運転に向けた安全性向上対策工事の計画を取りまとめ、福井県に報告を行った。両機は、原子力規制委員会による新規制基準適合性の確認を経て、6月に国内の原子力発電プラントでは初めて、法令で定める運転期限の40年を超え60年までの運転期間延長認可を得ている。
計画によると、高浜1、2号機の主要な安全性向上対策工事は、格納容器上部遮蔽設置、燃料取替用水タンク取替、火災防護対策、海水取水設備移設(2号機)、中央制御盤取替で、9月にも着手し2019年度に完了の予定だ。格納容器上部遮蔽設置工事は、重大事故時に原子炉格納容器から放出される放射線を低減させるとともに、屋外作業員の被ばく量低減を図るため、鉄筋コンクリート造のドーム状の上部遮蔽を設置するもので、2017年2月に着手し2019年11月までに完了させる。また、中央制御盤は、保守性向上の観点から従来のアナログ式から最新のデジタル式に取り替えを行い、大型表示装置やタッチパネル・ディスプレイでの操作や監視ができるよう変更する。
関西電力では、安全性向上対策工事の計画公表に際し、「S+3E(安全確保、エネルギーセキュリティの確保、経済性、地球環境問題への対応)の観点から、原子力発電は重要な電源であり、経営の根幹として今後も継続的に推進し、40年以降の運転を目指すプラントも含めて国により安全性を確認された確認されたプラントは活用していく」との方針を改めて掲げた上で、地元の理解を得ながら、安全を最優先に工事を進めていくとしている。
高浜1、2号機はいずれも2011年に定期検査に伴い停止しており、関西電力が5月に発行した「高浜発電所だより」臨時号によると、進捗状況により変更の可能性もあるが、2019年度中の工事完了、再稼働を目指すとしている。同社の原子力発電プラントでは、この他、美浜3号機について、60年までの運転期間延長の審査が規制委員会で進められているところだ。