電力の2015年度CO2排出実績、原子力再稼働などにより前年を下回る

2016年9月13日

 大手電力と新電力で構成される「電気事業低炭素社会協議会」は9月12日、会員事業者による2015年度のCO2排出量が4.41億トン-CO2、排出係数が0.530kg-CO2/kWhで、いずれも2014年度実績(参考値として、CO2排出量4.69億トン-CO2、排出係数0.552kg-CO2/kWh)を下回ったとしている。同協議会の会員事業者42社のうち、2015年度に事業活動を行っていた39社のCO2排出実績(速報値)を取りまとめたもので、前年度からの主な減少要因として、再生可能エネルギーの発電電力量増加、原子力発電所の再稼働、高効率火力発電設備の導入による熱効率改善をあげている。
 「電気事業低炭素社会協議会」は、電気事業連合会加盟10社、電源開発、日本原子力発電、および新電力有志により2016年2月に設立された自主的枠組みで、エネルギーミックスの決定を受けて、2015年7月に策定した「電気事業における低炭素社会実行計画」に掲げる2030年度のCO2排出削減目標の達成に向けて、会員事業者全体でPDCAサイクルを推進し、取組の実効性向上を図っていく。実行計画では、2030年度に排出係数0.37kg-CO2/kWh程度を目指すほか、火力発電所の新設に当たっては、経済的に利用可能な最良の技術(BAT)を活用することなどにより、最大削減ポテンシャルとして約1,100万トン-CO2の削減を見込んでいる。
 実行計画の推進に際し、国内の企業活動における供給側の取組としては、「安全確保を大前提とした原子力発電の活用」、「再生可能エネルギーの活用」、「火力発電の高効率化等」を掲げている。東日本大震災を契機として原子力発電所は順次停止し、2014年度の稼働はゼロとなったが、2015年度は、九州電力川内1、2号機、関西電力高浜3号機の計3基が、原子力規制委員会による新規制基準の審査をクリアし発電を再開した。電事連によると、100万kWの原子力発電プラントのCO2排出削減効果は、全電源平均と比較して1年当たり約310万トン-CO2と試算されている。また、日本の火力発電熱効率は、高効率設備の導入や適切な運転管理・メンテナンスに努めてきたことにより、安定的に世界トップレベルの水準を維持している。