原子力総合防災訓練が泊発電所で11月に実施、大雪を想定した訓練も冬季に
原子力規制委員会は9月14日の定例会合で、2016年度の政府主催の原子力総合防災訓練について、北海道電力泊発電所(=写真)を対象として11月中旬に実施するとの計画を了承した。原子力災害対策特別措置法に基づき、国、地方自治体、事業者らの合同により毎年行われるもので、今回、緊急事態の想定として地震発生に伴う大津波警報発令を盛り込むなど、複合災害への対応を検証し、今後の避難計画の改善につなげていくほか、寒冷地の実情を踏まえ、大雪を考慮した除雪や避難手順を確認する要素訓練も別途冬季に実施することとなっている。
訓練は、泊3号機で定格熱出力一定運転中、北海道南西沖を震源とする地震が発生し、大津波警報が発令されたのを受け、緊急負荷降下を開始し原子炉停止に至るも、事態が進展し、原子炉への注水機能喪失により放射性物質が放出されるという事象を想定する。
地域避難計画作成を支援する内閣府の原子力防災協議会が2日に取りまとめた泊地域の緊急時対応によると、寒冷地の実情に応じた対策として、暴風雪時には、車の立往生や交通事故など、二次災害を回避する必要から、屋内退避を優先し天候回復後の速やかな避難に備えることとしている。北海道では、大雪に備え「北海道雪害対策連絡部」を設置し、緊急時にも関係機関とともに適切な除雪実施体制を敷くこととしているが、原子力災害対策重点区域(概ね半径30km圏内)の13町村では、計700台の除雪車両が配備されており発災時に避難経路の確保に立ち働く。
また、北海道電力では、スノーシューを用いた夜間・吹雪時の冬季参集訓練、雪上でも走行可能なクローラ車や除雪作業用重機の習熟にも努めるなど、泊発電所特有の過酷な気象条件でも事故対応が図れるよう対策をとっている。
泊発電所を対象とした原子力総合防災訓練は、2001年度以来2度目となる。今回、原子力防災分野における日米間の協力関係緊密化に向け、米国のエネルギー省(DOE)、原子力規制委員会(NRC)、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が訓練を視察することとなっている。