エネ調「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」が始動
総合資源エネルギー調査会の「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(小委員長=山内弘隆・一橋大学商学研究科教授)が9月27日、初会合を行った。2016年4月からの電力小売全面自由化開始に伴う既存電力会社間の競争や多様な産業からの新規参入拡大をとらえ、今後の競争活性化の方策や公益的課題への対応を促す具体的仕組みについて審議し、年内の中間取りまとめを目指す。
2013年から法整備が行われてきた電力システム改革は、(1)安定供給の確保、(2)電気料金の最大限抑制、(3)需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大――を目的に、広域的運営推進機関設立(2015年度)、電気の小売全面自由化(2016年度)、送配電部門の法的分離(2020年度)と、3段階で進められている。初会合では、資源エネルギー庁が電力システム改革の現状について説明するとともに、競争的な市場の実現に向けた課題、競争のみでは解決が困難な公益的課題を整理した。その上で、さらなる競争活性化に向けては、ベースロード電源市場の創設をあげた。大手電力会社が大部分を保有する石炭火力、大型水力、原子力など、安価なベースロード電源による電力の取引市場を創設することで、新電力にもベースロード電源へのアクセスを促し事業者間競争の活性化を図るもので、今後、本小委員会のもと、市場整備ワーキンググループを立ち上げ検討していく。加えて、同ワーキンググループでは、新電力が非化石電源を調達できる環境整備を図る「非化石価値取引市場」など、各種市場の創設についても議論する。この他、公益的課題としてあげられた廃炉会計制度の在り方などについては、財務会計ワーキンググループで検討を進めることとなった。