原子力委放射性廃棄物専門部会 最終処分の取り組み総じて適切との評価報告書

2016年9月30日

dscf6906 原子力委員会の放射性廃棄物専門部会は9月30日、これまでの議論をふまえた最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価報告書案に沿って意見を交換し、報告書を取りまとめた。
 評価にあたっては、国民の信頼性確保等の視点を重視しつつ27の視点を設定し、関係者からのヒアリング等により収集した情報に基づいて行った。その結果、公開の審議会の頻繁な開催やシンポジウム等の精力的な実施などおおむね適切に取り組みが進められていることを確認できたとした。そして、自己評価の改善、双方向の対話の一層の充実、ホームページ掲載内容の見直しなど、個別に改善が必要な事項はあるものの、総じて明瞭性・透明性・応答性が高い水準で確保されていると評価できるとした。今後高レベル放射性廃棄物の処分に係る科学的有望地提示に向け、国民理解醸成のための活動を継続することが必須であるとして、各関係行政機関がまず当事者意識を持って、政府一体として取り組むべく相互連携を強化することを求めた。
 これまでの議論を振り返り、谷口武俊東京大学政策ビジョン研究センター教授は、早期に放射性廃棄物処分についての基本的考え方を示すことが重要であるとともに、幌延深地層研究センターなど地下研究施設の今後のあり方についても議論が必要であり、まだ他にも取り組むべき課題があると述べた。織朱實上智大学大学院地球環境学研究科教授は、可逆性や回収可能性を考える場合には、一度決定したことを議論し直すという手続きについても議論していかなければならないとの考えを示した。
 5月より審議を行ってきた放射性廃棄物専門部会は、今回の第5回会合をもって一区切りする。評価報告書は原子力委員会の了承を得た後、関係省庁に周知していく。