原子力委原賠制度専門部会 有限責任とした場合の制度設計などについて議論

2016年10月4日

dscf6956trim 原子力委員会の第14回原子力損害賠償制度専門部会が10月3日開催され、原子力損害賠償に係る制度に関する責任の範囲などを議論した。
 損害賠償措置を考えるにあたり、原子力事業者を有限責任とした場合には、事故抑止効果への影響や、有限責任の範囲を制限することによる手続きの煩雑化、原子力事業者の予見可能性の確保、責任限度額を超える損害への国民負担、国の補償に係る具体的な制度設計などが論点となる。一方で原子力事業者の無限責任を維持する場合には、損害賠償措置を基本とした制度設計、賠償措置額を増額する場合の国民負担、国の責務の柔軟な対応などが論点として挙げられた。
 森・濱田松本法律事務所の四元弘子弁護士は、有限責任とした場合、かなりの高額かつ事業者の予見可能性が高まる責任限度額、故意・過失があった場合にはそれを超える上限額、さらに国の無制限の補償などを踏まえつつ、国民の納得いく安定的な制度設計を作るのは相当ハードルが高いと指摘した。鎌田薫早稲田大学総長は、原則的な制度としては無限責任としておき、実質的には経済的な負担をどう分散していくか個々に対応していくのが、法律構成としては単純で適しているとの意見を述べた。
 次回は、より具体的な制度設計案などについて議論を深めていく。