岡山大学とIAEA ホウ素中性子捕捉療法の研究協力に関する協定締結

2016年10月27日

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BNCTに関する協定書調印式ⓒ岡山大学

 岡山大学と国際原子力機関(IAEA)は10月26日、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の研究教育に関する協定を締結した。BNCTは、ホウ素を病巣のみに取り込ませ、中性子を照射することによりがん細胞だけを破壊するもので、周囲の正常細胞や生体環境に影響を与えない革新的ながん治療法だ。
 同学では、がんの細胞核にまで到達するホウ素薬剤の開発や、名古屋大学との共同による中性子発生装置(加速器型)の開発など、BNCTの研究を重点的に行っており、放射線治療のガイドライン策定を担うIAEAとの連携により、技術的課題を克服しBNCTの普及が進むことに期待を寄せている。
 岡山大学津島キャンパスで同日行われた協定調印式には、岡山大学から森田潔学長、山本進一理事・副学長(研究担当)、IAEAからM.ベンカテッシュ核科学・応用局物理化学部長が出席し、協定書に署名を行った。森田学長は、BNCTは期待の大きいがん治療法であり、現代の素粒子物理学と新しい薬学的な細胞生物学の幸福な出会いがもたらした治療法だとして、「この度の協定が、IAEAとの更なる連携強化と、BNCTの新たな発展に繋がることを期待している」と述べた。
 翌27日には、同学ホールで、最近のBNCT治験状況や加速器中性子源の開発などを紹介するシンポジウム「中性子医療の社会実装に向けて」と、IAEAとの連携協力開始を記念するミニコンサートが開催された。
 なお、岡山大学は2015年に、放射性廃棄物管理の研究教育に関する協定をIAEAと締結しており、今回のBNCTにおける連携協力はこれに続くものだ。