原子力委 使用済み燃料再処理等実施中期計画で見解 平和利用の観点から妥当
原子力委員会は10月28日、同月3日に発足した使用済燃料再処理機構が策定する使用済み燃料再処理等実施中期計画に対する見解を示した。
使用済燃料再処理機構は、原子力発電に伴う使用済み燃料の再処理等を着実かつ効率的に実施するため、これまでの積立金制度から拠出金制度に改めることを主な柱として、再処理等拠出金法に基づき設立されたもので、実際の再処理事業などは、核燃料サイクルに関する技術・人材を蓄積している日本原燃が同機構からの委託を受けて実施することとなる。今回、同機構が発足後初めて策定する中期計画だが、再処理等拠出金法に基づき、経済産業相の認可が必要となっており、これに際し、国会附帯決議に鑑み、同相より原子力委員会に対し意見が求められていた。
中期計画に記載される再処理およびMOX燃料加工の両施設に関しては、それぞれ2018年度上期、2019年度上期のしゅん工を目指し施設が工事中となっていることから、いずれも適切な工程管理のもと、分量については「実施する前に、その計画を策定する」とされている。
原子力委員会の見解として、再処理や再処理関連加工の実施場所等については、国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にあること等により、平和利用の観点からは妥当であるとした。他方、再処理や再処理関連加工の実施時期および量に関する記述がないため、プルトニウムの需給バランス確保の観点から、再処理を実施する前に実施時期および量を含む実施中期計画の提示を求めた。また、使用済燃料再処理機構と事業を委託する事業者(日本原燃が相当)が適切な役割分担と実施体制の中で、効率的・効果的に事業を推進することにも言及した。さらに、核燃料サイクルにとって六ヶ所再処理施設の安全で順調な操業が重要であるとし、日本原燃が適切な工程管理と環境保全、技術的知見の蓄積および継承に取り組むとともに、人材育成への強力な推進も期待するとした。
今回の見解については、近日中に英訳版もホームページに掲載し、海外に対しても透明性を確保していく。