規制委、玄海3、4号の新規制基準適合性で「審査書案」取りまとめ
原子力規制委員会は11月9日の定例会合で、九州電力玄海原子力発電所3、4号機(PWR、各118万kW)について、新規制基準に適合しているとする「審査書案」を取りまとめた。「審査書案」は、原子力委員会と経済産業相への意見聴取および一般への意見公募を経て正式決定となる運び。これで、既に再稼働した5基、原子炉設置変更許可取得に至った3基を含め、新規制基準への適合性に係る「審査書案」が取りまとめられた原子力発電プラントは計10基となった。
玄海3、4号機の新規制基準への適合性審査は、同じく九州電力の川内1、2号機より4日遅れの2013年7月12日に規制委員会に申請され、およそ3年4か月の審査期間を経て「審査書案」の取りまとめに至った。その間、審査が先行した川内1、2号機がいずれも2015年に再稼働し、通常運転復帰となったほか、同年玄海1号機の廃炉が決定するなどの動きがあった。玄海3、4号機の審査対応に関して、九州電力は2016年5月に、重大事故発生時の指揮所として要求される「緊急時対策所」を免震構造から耐震構造へ設計を見直し、支援機能をさらに充実させるなど、建設計画を変更している。
規制委員会の田中俊一委員長は、定例会合終了後の記者会見で、九州電力として2例目となった今回の「審査書案」取りまとめに関する記者からの問いに対し、「全社を挙げて一生懸命やっていると思う」とした上で、新規制基準をクリアして初めて再稼働し、10月に定期検査入りした川内1号機の状況に触れながら、「実績をしっかり積んでいく」重要性を強調した。
玄海3、4号機は、それぞれ2010年12月、11年12月に定期検査に伴い停止している。九州電力では、4月に発表した2016年度経営計画の中で、玄海3、4号機の早期再稼働に向け、約270名の体制を整えて審査対応に当たるとともに、長期停止後の安全・安定運転に万全を期すよう、川内での経験を活かした設備の総点検や、地域とのコミュニケーション活動などに取り組むとしている。