「もんじゅ」のあり方を巡り、福井県知事が文科相・経産相と意見交換

2016年11月28日

 monju「もんじゅ」について、「廃炉を含め抜本的な見直し」とする政府による今後の高速炉開発に関する考え方が示されたことなどを巡り、立地地域の福井県・西川一誠知事が、松野博一文部科学相と世耕弘成経済産業相との間で意見交換を行う協議会が11月25日、文科省庁舎内で開かれた。
 協議会では、まず、松野文科相が、「もんじゅ」を巡る課題として、2015年11月に原子力規制委員会より、保守管理不備に伴い日本原子力研究開発機構に替わる実施主体を特定するよう勧告を受けて検討を進めてきた経緯、規制対応のため運転再開までに8年を要し、運転終了までのコストが約5,400億円と試算されていることなどを述べる一方で、今後も核燃料サイクルを推進していく政府の基本方針から、地域に蓄積された人材・研究基盤は「国として必要」と明言した。
 さらに、世耕経産相は、今後の高速炉開発について、10月に始動した官民合同の「高速炉開発会議」の検討状況から、実証炉開発の可能性を示し、実験炉「常陽」や原型炉「もんじゅ」を通じて蓄積された技術・知見を「将来に向けてどれだけ活用できるか」などと展望を述べた。
 また、両大臣ともに、福井県が原子力を中心としたエネルギーの総合的研究開発拠点構築を目指し取り組んでいる「エネルギー研究開発拠点化計画」への支援を強調した。
 一方、西川知事はまず、日本のエネルギー政策にとって「核燃料サイクル政策は重要」とした上で、今般、「もんじゅ」について「廃炉を含め抜本的な見直し」との方針が示されたことに関し、これまで国策に協力してきた立地地域にとっては「突然」、「生煮え」として、国に対し十分な議論、責任ある説明を求めるなどした。さらに、「もんじゅ」の運営体制整備の方向性を明らかにし、「エネルギー研究開発拠点化計画」の推進については、「もんじゅ」が積み上げてきた成果を活かすに当たって「具体的方策を早急に示して欲しい」などと要望した。
 「もんじゅ」の取扱いについては、こうした地元の意見なども踏まえ、高速炉開発の方針と合わせて、本年末を目途に政府の原子力関係閣僚会議で決定される模様だ。