高速炉開発会議が開発方針の骨子示す、「戦略ロードマップ」策定へ

2016年11月30日

 政府の高速炉開発会議は11月30日、3回目の会合を行い、年内に取りまとめる「高速炉開発の方針」の骨子案を示した。
 それによると、まず、目標の再掲示として、「エネルギー基本計画」に基づき、核燃料サイクルを推進するとともに、高速炉の研究開発に取り組むことを「堅持」し、世界最高レベルの高速炉の開発、実用化、国際標準化を目指し、高い安全性と経済性の同時達成を追求するとしている。その上で、高速炉開発を進めるに際し関係者が共有すべき4原則として、(1)国内資産の活用、(2)世界最先端の知見獲得、(3)コスト効率性の追求、(4)責任体制の確立――を掲げた。
 今後、高速炉開発会議の下に実務レベルのワーキンググループを設置、2017年初頭にも作業を開始し、2018年を目途に「戦略ロードマップ」を策定するとしている。前回10月27日の会合で、資源エネルギー庁が、高速炉開発の各プロセス「実験炉」、「原型炉」、「実証炉」、「商用炉」における主目的、実施内容、実施主体について大まかに整理したが、今回の会合で示された骨子案では、最重要となる実証ステージにおける向こう10年程度の開発作業を特定し、実証ステージ以降のプラントの基本的設計思想と開発体制を固めていくとされた。
 「高速炉開発の方針」には、高速炉特有の技術課題、その解決に向けた国際ネットワークの活用についても盛り込まれるが、30日の会合では、三菱重工業、米国エネルギー省がプレゼンを行い、それぞれ実用化段階の高速炉プラントをイメージした3次元設計技術、実験炉「常陽」を活用した協力の可能性を披露するなどした。
 今回の議論に関し、松野博一文部科学相は、「もんじゅ」の運転から得られる成果は、「常陽」や海外プラントからも獲得できるとの考えを示す一方、去る25日の福井県・西川一誠知事との意見交換も踏まえ、国内の技術基盤を活用する重要性も強調した。また、世耕弘成経済産業相は、様々な国との協力に向け可能性を模索していく期待とともに、これまでの「もんじゅ」の経緯に鑑み、民間主体となる今後の開発プロセスについて、社会的信頼性を確保する必要性も訴えた。