「原子力国民会議」が再稼働促進など盛り込み声明、全国大会で自民党の細田総務会長に
原子力の信頼回復に向け理解活動・政策提言を行う「原子力国民会議」の全国大会が12月1日、東京・大手町サンケイプラザホールで開かれ、原子力発電所の再稼働促進、核燃料サイクルの確立、原子力規制行政の刷新を働きかける声明文を採択した。「原子力国民会議」ではこれに先立ち、声明への賛同を求める署名活動を行ってきたが、11月末時点で署名は20万人にも達し、大会に来賓として訪れた自由民主党総務会長・衆議院議員の細田博之氏に対し、今後の原子力・エネルギー政策に向け実現を呼びかける声として報告された。大会の冒頭、「原子力国民会議」共同代表で元文部大臣の有馬朗人氏は、エネルギー自給率、CO2排出抑制、低廉な電力の安定供給、化石燃料利用に伴う国富の海外流出の観点から、「わが国には原子力が必要」と強調したのに対し、細田氏は壇上で、原子力発電所の再稼働が停滞している状況を憂慮し、「当面は核分裂エネルギーに頼るしかない。専門家は怖れず勇気を持って」などと、同会議が取り組む理解活動にエールを送った。
同じく来賓として講演を行った自民党・参議院議員の滝波宏文氏は、審査の長期化、敷地内活断層評価の疑義など、原子力規制行政を巡る問題点をあげた上で、次期通常国会に向けて原子炉等規制法改正案の準備を進めていることを述べた。また、福井県出身の滝波氏は、最近の「原発いじめ問題」に言及し、リスクを受け入れながら大消費地に電力を供給してきた生産地に対し感謝の意を表するべきなどと、産消間の信頼関係構築の必要性も訴えかけた。
「原子力国民会議」は地方での対話活動も積極的に行っているが、大会では、これに関連し、「地域からの声」として、刈羽村長の品田宏夫氏らが登壇し、原子力施設を立地する各地域が直面している課題などを述べた。品田氏は、昨今の原子力発電所再稼働と地域経済の活性化を直結させる報道に苦言を呈し、国策たるエネルギー問題について「村民はものすごく勉強している」ことを訴えかけた。また、福井県原子力平和利用協議会副会長の石黒順二氏は「もんじゅ」の取扱いを巡り現場の士気低下や人材育成への影響を懸念したほか、青森大学名誉教授の末永洋一氏は六ヶ所再処理工場や大間原子力発電所の建設工事停滞、大洗町長の小谷隆亮氏(代読)は研究炉の再開が進まぬ状況などをそれぞれ述べた。