第1回廃炉創造ロボコン 高専生が制限ある環境下でのアイディア発揮
文部科学省と廃止措置人材育成高専等連携協議会主催の「第1回廃炉創造ロボコン」が12月3日、福島県の楢葉遠隔技術開発センターで開催された。学生たちがロボット製作を通じて学生に廃炉に興味を持ち、創造性を発揮して課題解決能力や課題発見能力を養っていくことを目的としている。全国から13校15チームの高等専門学校(高専)生が参加し、松本幸英楢葉町長や遠藤智広野町長など地元の首長たちも見守る中、熱戦を繰り広げた。最優秀賞となる文部科学大臣賞は大阪府立大学工業高専土井研究室の「TAPPAR」が、優秀賞に奈良高専奈良廃炉ロボコン友の会の「Stepウォーカー」、アイディア賞に舞鶴高専舞鶴Hi-Low研究会の「福鶴1号」が選ばれた。また特別賞として、旭川高専team ANCT.の「U-bo」がIHI賞を、福島高専鈴木Laboの「Hairon」がアトックス賞を、富山高専の「RITORNO」が日立GEニュークリア・エナジー賞を、熊本高専NITK-K Robocon Teamの「SANRED」が常磐エンジニアリング賞を、北九州高専久池井研究室の「Get The Situation~できるんばい~」がパシフィックコンサルタンツ賞をそれぞれ受賞した。
高専学生3名までと指導教員1名から成る各チームは、「モックアップ階段」「ステップフィールド」の2つの競技フィールドからどちらかを選択。前者では重量5kgの荷物を2階まで運んで置いた上で元の場所に戻ってくることや2階の不定の場所に置かれた物を調べること、後者では面積や凸凹などフィールドの形状を調べることやフィールド内の不定の場所に置かれている物を調べることなどの課題から、1項目を選択する。それぞれ福島第一原子力発電所原子炉建屋を想定し、照明のない暗闇でモニターを見ながらの遠隔操作のため本体を直視できず、コンクリートの厚い壁で電波が届かないという設定で行われる。また、強い放射線の影響によりカメラや半導体機器の動作に制限時間を設けているが、遮蔽方法などの考案により審査員の判断で制限時間を延長できる。各チームとも、午前に設定した環境や条件を説明する10分間のプレゼンテーションを行い、午後に10分以内の実演を行う。プレゼン、実技ともに、課題発見力、課題解決力、創造性、アイディア、技術力などの観点から評価が行われた。
実技では、ヘリウムガスを使った風船を利用したものや階段の手すりをつかむアームが伸びるものなど、創意工夫が凝らされた様々な形状のロボットが登場したが、課題達成に至ったチームはわずかだった。また、ドローンを製作したチームもあったが、制御がうまくいかず故障する例もあった。本ロボコンは来年も同じ課題を継続して行う予定で、参加者たちは今回の結果を振り返りながらも、次回に向けて意欲を見せていた。