原子力委員会 軽水炉の利用に関し見解まとめる
原子力委員会は12月20日、軽水炉利用に関しての見解をまとめるにあたって議論を行った。見解の発出に向け、12月1日の原子力委員会では電気事業連合会および関西電力と電源開発が、13日の同委員会では原子力安全推進協会と電力中央研究所が、それぞれの安全性向上に向けた取り組みや軽水炉をとりまく現状について説明を行っている。
見解案では、原子力委員会の認識として、原子力発電は環境負荷が少なく、エネルギー需給構造の安定に寄与するベースロード電源として位置づけられるとした。しかし原子力の利用にあたっては、国民の不信や不安に対して真摯に向き合い、理解を深めるためのあらゆる取り組みを一層充実させ、さらなる安全性向上に向けた十分な取り組みがなされることが必要不可欠だとして、リスクマネジメントおよび技術継承・人材確保、産学連携の強化を留意すべき事項として挙げ、各国が注視しているプルトニウム保有量についても触れるとした。
リスクマネジメントに関しては、事業者が中心となって取り組んでいる自主的安全性向上のための活動に大いに期待するとしながらも、より一層効果的なものとするために、リスク評価を踏まえて経営トップがリスク管理に関わり、リスクをマネジメントして必要な措置を講じることや、事業者側と政府側が対等で建設的な意見交換を透明なプロセスの下で行い、効果的で効率的な安全確保の仕組みを構築していくことなどを求めた。
技術継承・人材確保については、原子力発電所の長期停止に伴ってコア技術に関する仕事が減り、特に電気事業者において機械・電気・化学などをはじめとする多様な工学系人材の採用が減少したままである現状は、原子力発電の利用に影響する可能性があると指摘し、企業における継続教育や研修の充実などが重要だとした。原子力委員会は今後、人材面での他の課題も検討した上で、人材育成に関する見解を発表する。
産学連携の強化に関しては、米国や欧州における取り組み等も参考に、産業界と研究機関・大学をまたぐようなネットワークや省庁横断的な体制の構築等、早急に仕組み作りを検討すべきだとした。
なおプルトニウム保有量について、日本で着実に利用していくには軽水炉を利用したプルサーマルでの対応が唯一の現実的な手段であるとして、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則の下、保有プルトニウムの適切な管理はもとより、着実な利用でプルトニウム需給バランスに関する具体的かつ現実的な見通しを得ることが期待されるとした。