原子力委員会見解 商業利用を目指し高速炉開発を進めるべき
原子力委員会は1月13日、2016年12月に原子力関係閣僚会議で「高速炉開発の方針」および「もんじゅの取扱いに関する政府方針」が決定したことを受け、高速炉開発について見解を発出した。
見解では冒頭、核燃料サイクルの推進にあたって、六ヶ所再処理工場がしゅん工前の段階にある現状に鑑み、今後、国内での再処理技術やMOX燃料加工技術の蓄積・成熟動向を一歩一歩確認しつつ状況の進展に応じて「戦略的柔軟性」を確保しながら対応を進めていく姿勢が重要だと指摘している。具体的取組としては、使用済み燃料中間貯蔵の強化の重要性をあげている。
その上で、まず、廃止措置に移行することとなった「もんじゅ」については、高速炉発電を目指し技術的成果や知見が得られ、「建設したことによる目的はある程度達成された」と一定の評価を示す一方、様々なトラブルによって研究開発や商業化に向けた道筋が不明確になったなどと、反省点をあげた。今後の高速炉開発に向けて、「もんじゅ」の経験や、東京電力福島第一原子力発電所事故や電力自由化といった競争環境も踏まえ、商業利用を念頭に置き進めるべきだとしている。その際には、高速炉の開発・建設コストの低減に努めつつ国際的なウラン資源の賦存状況に留意するとともに、高速炉の最終的な廃棄処分のコスト等も含めた幅広い視野での減容化・有害度低減について、適切に評価することを求めた。
今後の高速炉開発にあたっては、商業化を目指して目標設定を行い、そのための条件を開発当初から検討・設定した上で開発を進める必要があるとして、開発・建設コストの低減など高い経済性が求められることに留意すべきだとした。「高速炉開発の方針」では、今後10年程度の開発作業を特定する「戦略ロードマップ」を2018年目途に策定することとしているが、これに際して、本見解では、将来実現すべき高速炉の商業化ビジネスとしての成立条件や、目標についても検討すべきとしている。
また、日本のプルトニウム保有量に対する諸外国の関心が高まっている状況では、着実なプルトニウム利用を行っていく必要があるとして、まずは現在唯一の現実的な手段である軽水炉を利用したプルサーマルでの対応が必要であり、米国をはじめ国際社会に対して我が国の方針について適切に説明していくべきだとした。