原子力委原賠制度専門部会 事業者を無限責任にした場合の措置について議論

2017年1月27日

 原子力委員会の第16回原子力損害賠償制度専門部会が1月26日に都内で開催され、原賠法の目的規定と国の責務、原子力事業者を無限責任とした場合の制度設計について審議が行われた。
 原賠法の国の責務について、公務で欠席の西川一誠福井県知事は書面で、政府が「もんじゅ」の方針で運転再開しないと拙速に方針転換したことで国のエネルギー政策に大きな不信感を抱いていることに触れた上で、国が被害者の保護が確実に行われるよう万全の措置を講ずる責務を有するのであれば、その履行が担保されるよう国の責務を法令上明文化して原子力に対する姿勢を示すことを求めた。
 賠償に係る制度については、現行の原子力事業者無限責任のままでいく方針として、賠償資力の確保に関する課題などについて審議した。賠償措置額は現行1,200億円となっているが、これよりも引き上げることで概ね合意が得られた。ただし賠償措置額を大幅に引き上げることには、他の制度とのバランスをとりつつ慎重であるべきだとの意見が多かった。オブザーバーで参加した岡芳明原子力委員長は、スリーマイルアイランド事故以降に米国が取り締まり型でなく予防型の自主的安全性向上に取り組んだ成功例を挙げながら、「安全と経済性の向上を両方達成することは可能だ」と主張した。
 次回も引き続き原子力事業者を無限責任とした場合の制度設計について集中的な審議を行っていく。