原賠支援機構法改正案が閣議決定、福島第一廃炉の着実な実施に向け積立金制度を創設
政府は2月7日、福島第一原子力発電所の廃炉の確実な実施に向け、積立金制度を創設することを柱とした「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」の改正案を閣議決定した。
同法に基づき設置されている原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、福島第一原子力発電所事故に伴う賠償円滑化のため、必要な資金交付などの業務を担っているが、廃炉と賠償の関連性を考慮し、2014年の法改正により、事故炉の廃炉関係業務が追加され、政府による大方針や監視のもと、技術的支援を総合的に行うことで、「東京電力が取り組む廃炉を着実に進められる体制」を構築している。
一方で、廃炉を遂行するには、長期にわたる巨額の資金需要に対応するための制度整備が必要とされている。実際、経済産業省の「東京電力改革・1F問題委員会」が2016年12月に取りまとめた提言によると、廃炉に関しては、当初見込まれた2兆円に加えて、燃料デブリ取り出しの関連で、最大6兆円の追加資金を要すると試算しており、賠償、除染なども含め、「福島事業を長い目で展望した上での必要な資金規模」が指摘されている。
こうした背景を踏まえ、今回の法改正により、東京電力に対し、廃炉の実施計画を届け出させ、これをもとに、毎年度事故炉廃炉に充てる必要な資金を、原賠支援機構に積み立てることを義務付ける。また、積立金の額の認可に当たり、必要な場合には、経産省や原賠支援機構が立入検査を行えることも規定している。