福島第一の廃炉技術開発に向け、若手が集い研究発表
将来の原子力発電所廃炉現場での活用に向け、次世代の研究・技術者の育成を喚起する技術カンファレンスが3月7日、東京工業大学・大岡山キャンパスで開催され、大学・高等専門学校の学生たちによる研究成果が披露されるなどした(=写真上)。多方面の研究者が機関・分野の枠を越えて連携することを通じ、原子力の課題解決を目指す文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」の一環として行われたもの。
本事業のプログラム・ディレクターを務める原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長の山名元氏は、学生発表に先立ち基調講演を行い、福島の被災地住民が帰還に際し不安に思うこととして、「原子力発電所の安全性」が多くあがっていることを述べ、福島第一原子力発電所の廃止措置に見通しを示すのは「技術者の責任」と訴えかけた。さらに、福島第一の廃炉は通常の原子力発電所にはない放射性物質のリスクがあることから、「建屋の老朽化も加わり、放置すればリスクが受容できないレベルにまで引き上がる」と強調し、「長い戦いに向け技術力を継続させていかねばならない」として若手の活躍に期待を寄せた。また、同氏は、福島第一の安全な廃炉完遂を目指し、国内外の専門家たちの英知を結集する国際フォーラム(第2回)が7月2、3日に、広野町といわき市で開催されることを紹介した。
この他、土木学の観点から粘性を有した「超重泥水」による放射線遮へい(早稲田大学)、国内で初めて発電に成功した動力試験炉「JPDR」の解体管理データの統計分析に基づく廃止措置の作業人工数算出モデル(福井大学)など、ユニークな提案もあった。
カンファレンス終了後、優秀な学生発表への表彰が行われ、実行委員長の東工大・小原徹教授は、「すぐに現場で役立ちそうなものもある」などと講評を述べた。