関西電力豊松副社長ら、規制委との意見交換で原子力災害に備えた事業者間協力について説明

2017年4月7日

 関西電力の豊松秀己副社長らは4月6日、原子力規制委員会との意見交換の場で、原子力災害に備えた事業者間の協力体制について、米国における安全性強化の取組「FLEX戦略」と対比しながら説明した。主要原子力事業者12社(北海道電力など9社、日本原子力発電、日本原燃、電源開発)間の強力体制強化として、施設の地理的近接性を活かした協力協定や、各発電所ごとに配備している可搬型重大事故等対処設備(大容量ポンプなど)の融通の拡充など、規制の枠にとどまらない安全性向上に向けた取組について述べたもの。意見交換には、豊松氏の他、東北電力の渡部孝男副社長、東京電力ホールディングスの姉川尚史常務執行役が出席した。
 米国の「FLEX戦略」は、福島第一原子力発電所事故を教訓とした産業界の自主的な取組で、オフサイトの対策では、国内のいずれの原子力発電所に対しても、緊急事態発生から24時間以内に必要な資機材を供給できるよう、東西2拠点(アリゾナ州フェニックス、テネシー州メンフィス)に、可搬型発電機、高圧ポンプなどを集中配備している。これに関し、米国では、「各発電所には最低限の設備を配備し、集中配備拠点に可搬型重大事故等対処設備を集中配備することにより効率性を高めている」のに対し、日本では、「新規制基準の要求に基づき、各発電所ごとに必要十分な可搬型重大事故等対処設備を配備している」などと、豊松氏は日米間の比較について整理した。
 一方で、事業者による自主的・継続的な取組として、日本では、原子力災害発生時には要員派遣や資機材搬送により発災事業者を支援し、平常時には必要な訓練を行う「美浜原子力緊急事態支援センター」が12月に運用開始したほか、地理的近接性を活かした事業者間の協力協定締結が広がるなど、自主的・継続的な対応力向上が図られている。豊松氏は、それらの中で、西日本5社相互協力協定(北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力)の活動状況を紹介し、原子力災害発生時における対応の実効性を高めるべく、資機材融通の運用について定めたほか、2016年度は計6回の合同訓練を実施したなどとしている。
 これを受け、規制委員会からは、これまでの事業者による訓練実績を踏まえ、シナリオの作り方などに関する意見があった。同委と事業者とが公開の場で随時行ってきた意見交換は、経営トップから主に安全文化醸成の取組状況についてヒアリングを行うものから、1月より数社から原子力部門責任者を招き専門的に行う形式へと移ったが、今回のやり取りを受けて、引き続き2か月に1回程度実施し議論を深めていく。