規制委が九州電力瓜生社長らを招き意見交換、田中委員長「川内の実績は大きな成果」
原子力規制委員会は、4月14日の臨時会議で九州電力の瓜生道明社長らと意見交換を行った。安全性向上の取組状況について、同委が2014年より主要原子力事業者の経営トップを招き実施してきた意見交換は、これで3巡目に入る。
意見交換ではまず、瓜生社長は、この4月より実施した「原子力事業における『安全の追求』と『透明性の向上』、地域の皆様の『安心』につながる業務運営・組織になること」を最優先とした組織改正の概要と、さらなる安全・安心に向けた自主的取組について説明し、「地道な日々の改善を積み重ねていくことが非常に重要」との姿勢を強調した。その中で、自然災害への対応としては、折しも、熊本地震発生から丸一年となったが、川内原子力発電所で、定期検査とは別に10項目からなる特別点検を実施し、地震による影響がないことを再確認したほか、玄海原子力発電所についても、長期停止を踏まえた設備点検に加え、同様の取組を検討していることを述べた。また、川内原子力発電所については、地震観測点を19か所から約30か所に増設し、気象庁や防災科学技術研究所のデータも活用するなど、地震・火山の活動状況を、より高い精度で把握するよう観測体制を強化することとしている。
川内1、2号機が、他の原子力発電プラントに先んじて、新規制基準をクリアした上で、再稼働し、定期検査も経験していることに関して、更田豊志委員が今後規制委員会の行う安全性向上評価の準備状況について尋ねると、瓜生社長は、「どこがウィークポイントなのか、社外委員会も含めて分析を行っている」などと、7月上旬の評価届出に向けて着々と準備を進めていることを述べた。安全性向上評価は、運転再開後の最初の定期検査終了後6か月以内に届け出ることとされている。
また、田中知委員が組織改正の成果について尋ねると、瓜生社長は「安全性向上に向け地道に取り組む意識が芽生えてきた。運転再開はゴールではなくスタート」などと、社員のモチベーション向上が見えてきたことを認めるとともに、慢心せずさらなる改善に取り組んでいく姿勢を強調した。
一方で、伴信彦委員が、去る3月21日に行った原子力安全推進協会との意見交換を振り返り、「トップの考えが末端まで浸透していないのでは」との懸念を示すと、瓜生社長は、九州電力関連の西日本プラント工業への技術支援ミッションの経験に触れながら、「イコール・パートナー」として、関連企業とともに安全文化の構築に努めていることを述べた。
各委員からの発言を受け、田中俊一委員長は、「川内の安全運転の実績は大きな成果。九州電力の信頼のベースとなる」などと、同社に対し高い評価を示した。