原子力委員会 「プルトニウム利用は透明性を持って進めることが大事」
原子力委員会は4月19日、原子力規制委員会から諮問された「利用目的のないプルトニウムの有無を判断する行政組織」について議論し、プルトニウムの平和利用に係る透明性向上の観点から、引き続き、プルサーマル計画の進捗状況や再処理工場の稼働状況に応じて、「プルトニウムの利用目的の妥当性を確認する」との答申をまとめた。
規制委員会は4月11日、原子力委員会に対し、日本の原子力利用を巡る諸環境の中で、再処理施設や原子力発電所の運転状況等が、同委の示す「利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則」に沿っているかについて、随時判断を行っていくのか質問した。原子力を巡る事業環境の変化を踏まえ、使用済み燃料の再処理については、「拠出金制度の創設」、「認可法人制度の創設」、「適正なガバナンス」を柱とする再処理等拠出金法施行に伴い、新たに「使用済燃料再処理機構」が先秋に発足し、実施主体となる同機構の委託を受け、引き続き日本原燃で行われることとなっている。
原子力委員会では、「利用目的のないプルトニウムを持たない」との原則に基づき、電気事業者等に対して、プルトニウム利用計画を公表するとともに、必要に応じて同計画の見直しを行うことを求めている。原子力委員会はこれらの公表や見直しに応じて、プルトニウムの利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間の目処などを含む)の妥当性を確認している。
新規制基準への対応のため多くの原子力発電プラントが停止している状況下、原子力委員会では2016年3月、電気業連合会から、プルトニウム利用計画についてヒアリングを実施し、日本のプルトニウム利用に対する国内外の関心の高まりなどから、「従前にも増して透明性向上を図るための取組みが必要」との見解を示している。因みに、電事連では、震災前と変わらず「全国の16~18基の原子炉でプルサーマルの導入を目指す」としている。
今回の答申で、原子力委員会は、プルトニウムの需給バランス確保について、中立的かつ俯瞰的立場から適切に確認を行い、その結果を公表するととともに、必要に応じて経済産業大臣、電気事業者、再処理関連事業者等に対して意見を示すこととしている。
岡委員長は、「プルトニウム利用は透明性を持って進めることが大事」と念を押した。