東芝メディカル 産学連携で世界初「全身用320列面検出器型の立位・座位CT」開発
東芝メディカルシステムズは5月2日、陣崎雅弘慶應義塾大学医学部放射線科学教室教授ら主導のもと、産学連携により世界初の全身用320列面検出器型立位・座位CT(コンピュータ断層撮影)を開発したと発表した。今回開発のCTでは、従来のCTでは縦置きになっていたガントリ(架台)を横置きにし、スキャナ自体を上下動させることで、立位および座位での撮影ができるようになった。東芝メディカルシステムズは、世界で初めて開発した160ミリメートル幅を1回転0.35秒で撮影できるエリアディテクター「CT Aquilion ONE」の販売を2007年に開始して以来、さらなる製品改良を重ねてきた。今回開発した世界初の全身用320列面検出器型の立位・座位CTには、同社最新のエリアディテクターCTの技術を応用し、さらに装置左右のスタンド部分に内蔵される高剛性かつ高精度な駆動機構を開発して、画質に影響を及ぼす振動を従来の臥位CT以下に抑え、スキャナ自体を上下駆動させながらの全身撮影を実現した。同CT導入で、(1)運動器疾患のような荷重がかかる状態の早期診断(2)ヘルニア・臓器脱のような腹圧がかかることで明らかになる病態の診断(3)立位・座位での呼吸機能や循環動態の評価(4)形成再建術の術前評価(5)歩行機能の評価――などが可能となると期待される。
同CTは4月に慶応義塾大学病院に第1号機として導入されており、5月以降に臨床研究を開始する。