全原協総会開催、訴訟対応やエネルギー教育などを巡り政府関係者らと幅広く意見交換
「全国原子力発電所所在市町村協議会」(会長=渕上隆信・敦賀市長)は5月9日、定例総会を都内で開き、2017年度の事業計画とともに、原子力政策、立地地域対策など、計75項目からなる要請書を決議した。これを踏まえ、立地地域の首長らと政府関係者との意見交換も行われた。
総会に来賓として訪れた井原巧経済産業大臣政務官は、挨拶の中で、「福島の復興と廃炉・汚染水対策は経産省の最重要課題」と述べ、関連法案の今国会成立を目指しているとしたほか、参集した立地地域関係者らに、国策への理解・協力に対する謝意を示した上で、「今後のエネルギー政策検討に活かしていく」として、続く同省、文部科学省、内閣府などとの意見交換に先鞭を付けた。
意見交換の中で、中塚寛・おおい町長が、昨今の原子力を巡る訴訟に関して、政府の姿勢を問うと、経産省からは、事業者による自主的安全性向上への努力および真摯な説明がなされる必要性とともに、行政サイドからもサポートしていくことなどが述べられた。
また、山田修・東海村長が、村内に多く立地する原子力研究施設の老朽化を憂慮し「従来型ではなく新たな人材育成が必要」と訴えると、文科省からは、「実際に手に触れることは非常に重要」と、実習の重要性を強調し、まずは研究炉の再開に向けて新規制基準への対応に努めていく考えが述べられた。エネルギー・環境教育関連で、美浜町からは、4月に町内に開館した体験型施設「きいぱす」について紹介があり、松田うめ子・同町議会議長は、「福井県にとどまらず全国の学校からも」などと、多くの生徒たちが集まり学ぶことに期待を寄せた。
この他、災害対策に関連して、柏崎市からは避難道路の確保について、石巻市からは医療受入れ体制や食料の確保について、それぞれ国内有数の豪雪地帯、東日本大震災による最大の被災自治体として、政府による適切な対応を求める声があった。