岡山大学中性子医療研究センター開所式 名古屋大学等と協力しBNCT指針作成へ
岡山大学中性子医療研究センター(NTRC)の開所セレモニーが5月9日、同大鹿田キャンパスで行われた。同センターでは、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に技術革新を起こして中性子医療という新規分野を創出し、がん治療に新たな世界標準治療を切り開くことを目指すとしている。BNCTは、ホウ素原子10Bをがん細胞に導入した後に中性子線を照射してがん細胞内部で核分裂を起こし、正常細胞にはほとんど影響を与えずにがん組織を細胞単位で殺すことができ、切らずに治す治療法として注目されている。
岡山大学は2012年より、放射性廃棄物に関し国際原子力機関(IAEA)との連携交流を深め、2016年10月にIAEAと岡山大学との間でBNCTについての協定を調印している。さらに文部科学省の予算措置のもと、今回の中性子医療研究センター発足につながった。
また岡山大学NTRCでは、多種のがん細胞へ確実にホウ素を届けることのできる薬剤を開発しており、名古屋大学では、新たな仕組みで適切な中性子線を作り出す装置の開発を進めている。このことから両者は、放射線治療の指針を定めるIAEAと連携してBNCTのガイドライン作りに参加し、日本の意見を世界に発信していくとしている。