原子力機構が敦賀に廃炉技術実証の拠点整備へ、地元企業の育成を通じ地域経済発展も目指す

2017年5月18日

 日本原子力研究開発機構は、将来の廃炉ビジネスをリードする企業群の形成を図る「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」の起工式を5月21日に、敦賀事業本部敷地内で開催する。福井県に原子力発電所を立地する関西電力他とも連携しながら、国内外でニーズが高まる廃止措置とともに、地元企業育成を通じ地域経済発展への貢献を目指すもので、今後、2018年度の事業開始に向け、解体技術実証に必要な施設の整備を進めていく。
 福井県内では、長年にわたり原子力発電所の建設、運転、点検などに貢献してきた技術力・人材が蓄積されているほか、最近では、関西電力美浜1、2号機、日本原子力発電敦賀1号機の廃炉が決定したのを受け、電力会社と地元企業との廃止措置工事に係る共同研究も開始しており、新たな技術ニーズに応じた動きが活溌化している。また、同拠点が置かれる敦賀市には、福井大学附属国際原子力工学研究所、若狭湾エネルギー研究センター、福井県国際原子力人材育成センターなどがあり、原子力機構では、こうした多くの教育・研究インフラや地元企業、福井県の「エネルギー研究開発拠点化計画」を通じた連携基盤を「福井県の強み」として、技術力の強化に活かしていくとしている。
 原子力機構は、2017年度内にも拠点施設の整備を完了し、(1)廃止措置解体技術検証、(2)レーザー加工高度化、(3)廃止措置モックアップ試験――の研究フィールドを設け、廃止措置解体技術検証フィールドでは、プラント内の放射線量率可視化や解体手順の合理化検証などに利用できる「複合現実感システム」の開発を行う。
 「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」は、文部科学省の地域科学技術実証拠点整備事業として2016年末に採択が決定された。同事業は、「地域が成長しつつ一億総活躍を実現」を掲げ2016年度補正予算に150億円が計上された取組で、地域の大学・研究機関を拠点として、産学官連携により研究開発成果を事業化させ、雇用創出と経済活性化を目指すものだ。