ポーランドとの高温ガス炉技術の協力深化へ、外相会談で

2017年5月19日

 岸田文雄外務大臣とポーランドのヴィトルド・ヴァシチコフスキ外務大臣は5月18日、外務省で会談を行い、政治、経済、科学技術、文化など、幅広い協力分野において2017~20年までに実施すべき具体的目標を明記した「戦略的パートナーシップに関する行動計画」に署名し、二国間関係をさらに強化していくことを確認した。2015年の安倍晋三首相とブロニスワフ・コモロフスキ大統領との両国首脳会談で発出された共同声明では、エネルギー分野に関して、高効率石炭火力発電の推進とともに、ポーランド経済省と原子力国際協力センターとが共催したセミナーなど、二国間で実施してきた協力を評価した上で、ポーランドの原子力プログラムの実現に向け、人的交流、ビジネス協力をさらに促進することと明記されている。ポーランドでは、発電量に占める石炭火力の比率が極めて高く、温暖化ガス削減上問題となっていることなどから、2025年末の原子力発電導入を目指す計画が2014年に閣議承認されている。
 今回の外相会談で署名された行動計画では、これを踏まえ、エネルギー分野について、日本原子力研究開発機構とポーランド国家原子力研究センター(NCBJ)との高温ガス炉技術の研究・開発に向けた協力や、石炭ガス化複合発電の発展を含むクリーン・コール技術に関する両国関係機関間の協力などを進めていくことが盛り込まれた。
 これを受けて、同日、原子力機構は、NCBJと「高温ガス炉技術に関する協力のための覚書」を締結した。同機構では、産業への熱供給が可能な実用高温ガス炉(熱出力200~350MW)と研究用高温ガス炉(同10MW)の導入を検討しているポーランドとの技術協力を通じ、高温工学試験研究炉「HTTR」で培った技術の実証を海外で進め、国際標準化を図りたいとしている。同様の覚書は英国URENCO社とも締結された。