「日台原子力専門家会合」開催、廃止措置や廃棄物処理・処分について意見交換

2017年7月20日

基調講演を行う台湾電力チーフ・エンジニア・スポークスマンの林氏

 日本と台湾の原子力関係者が交流する「日台原子力専門家会合」(主催:原産協会、中華核能学会)が7月18日、都内のホテルで開催された。今回の会合は、台湾側のエネルギー政策動向をとらえた提案を踏まえ、原子力発電所の廃止措置、廃棄物処理・処分に関わる研究・技術開発や諸課題をテーマに意見交換を行うとともに、会場内には、企業展示紹介コーナーを設けるなど、ビジネスネットワーキングの機会も提供された。
 開会に際して、挨拶に立った原産協会の佐藤克哉常務理事は、今回のテーマに関連し「日本だけでなく近隣アジア諸国でも原子力発電所の高経年化、廃炉はますます重要な課題となる」と述べ、前身の「日台原子力安全セミナー」も含め30回目の節目を迎えた本会合が有意義なものとなることを期待した。また、台湾側を代表し挨拶に立った中華核能学会の潘欽理事長は、既存3サイトの原子炉6基を2025年までに廃止することを盛り込んだ法改正に伴い、台湾のエネルギー構成が今後化石燃料や風力にシフトしていくとした上で、原子力発電について「当面急務となる廃炉、廃棄物処分について是非指導を」などと、日本に対し技術や経験の共有を求めた。

会場内に設けられた企業展示紹介コーナー

 会合で基調講演を行った台湾電力チーフ・エンジニア・スポークスマンの林德福氏らは、最も早く停止期限を迎える金山原子力発電所(第1が2018年12月5日、第2が2019年7月15日)の廃止措置に向けて、2016年8月にタスクフォースを発足させ、技術開発や規制対応などに取り組んでいることを紹介した。台湾の原子力発電により発生する低レベル放射性廃棄物については、蘭嶼島に一時貯蔵されているが、現在、2地点を候補に最終処分場の選定が進められており、使用済み燃料についても、乾式貯蔵施設が金山原子力発電所で運用されているほか、国聖原子力発電所でも建設計画が進んでいるなどと説明した。
 日台双方の発表後、総合討論で、日本側から、放射性物質として扱う必要のないものをリサイクル活用するクリアランス制度の検討を示唆する発言があったのに対し、台湾側からは、今後、政治家や住民らとも十分議論していく考えが述べられるなどした。