福島第一3号機、原子炉格納容器内部調査「溶融物が固化したと思われるもの」を確認
東京電力は7月19~22日、福島第一原子力発電所3号機において、今後の燃料デブリ取り出しに向けた技術開発・データ取得のため、原子炉格納容器内部調査を、水中遊泳式遠隔調査装置(水中ROV=写真上)を用いて実施した。調査結果では、ペデスタル(原子炉圧力容器下)内下部に「溶融物が固化したと思われるものや、グレーチング(格子状のスノコ)等の複数の落下物、堆積物」が確認されたとしている。東京電力の担当者は、21日夜の記者会見で、溶融物は「燃料デブリの可能性が高い」との考えを示し、今後、調査で得られた画像データの詳細分析を進めるとしている。また、今後の詳細分析に向けて、「MAAP」などのシビアクシデント解析コードも参考とする考えを述べたほか、今回得られた画像について、「燃料と構造物が混ぜこぜとなっている可能性もある」として、いわゆる「燃料デブリ」の定義を改めて考える必要性も示唆した。
福島第一の原子炉格納容器については、2月に2号機で、3月に1号機で、それぞれ異なるタイプの自走式調査装置を導入した内部調査が実施されており、2号機では、ペデスタル内のグレーチングの脱落や変形、ペデスタル内に多くの堆積物があることを確認している。続く3号機では、1、2号機と異なり、原子炉格納容器内部の水位が高いことから、「X-53ペネ」と呼ばれる貫通孔から前方・後方カメラを搭載した水中ROVを導入して調査を行った(=下図)。
福島第一廃止措置の中長期ロードマップでは、今夏にも号機ごとの燃料デブリ取り出し方針を決定することとしている。