原産協会プレスブリーフィング 「廃止措置」テーマの日台原子力専門家会合など報告
高橋明男原産協会理事長は7月27日、メディアを対象とした定例ブリーフィングを行った。
高橋理事長は、最近の原産協会の活動として、7月18日に開催された第2回日台原子力専門家会合について紹介した。同専門家会合は、前身の日台セミナーを含め1986年より30回にわたって原産協会が毎年開催してきたもので、今回のテーマ「原子力施設の廃止措置」については、2025年までの脱原子力政策を掲げる台湾と、今後16基(新型転換炉ふげん発電所を含め)の廃炉が決定している日本双方の参加者から高い関心を集め、有意義な情報交換の場となったことを報告した。
その後の質疑応答部分で高橋理事長は、月内にも高レベル放射性廃棄物地層処分に向けた「科学的特性マップ」が公表されることに対し、「長い道のりの1歩」との認識を示した上で、現世代で受け止めなければならない重要な課題であり、国が丁寧に説明した上で国民一人ひとりが理解を深め、たとえ時間がかかってもしっかり議論を行って次の段階へと進めてほしいと述べた。
また、8月からエネルギー基本計画の見直しが始まることについては、「エネルギー政策は短期で切り替えられるものではなく、特に原子力発電については計画段階から発電開始までに長期間を要する」として、原子力発電割合を20~22%とする2030年需給見通しのさらに先も見据えた議論を求めた。また現行のエネルギー基本計画では明記されなかった新増設やリプレースについてもいずれ必要となるとした上で、原子力は3E+S(安定供給、コスト低減、環境負荷低減、安全性)の他にも、設備投資の面が大きいため建設やメンテナンスなど「国内で人に対して投資できる発電方法である」ことなどを強調し、しっかり原子力の価値を国民に対して伝えていく必要性を述べた。さらに国民理解につなげる一助として、原産協会でも放射線教育を行う中学校の先生向けの研修等の取り組みを行っていることを紹介した。