原子力機構、福島第一廃炉作業の効率化に向け小型軽量のガンマカメラ開発
日本原子力研究開発機構は9月11日、福島第一原子力発電所の円滑な廃炉作業に向けて建屋内の汚染分布を測定する小型軽量ガンマカメラとともに、測定結果を3次元的に表示するシステムを開発したと発表した。福島第一の建屋内は床面だけでなく、壁や天井、機器、がれきなども放射性物質により汚染されており、放射線散乱もあることから、高線量空間で3次元的な汚染分布を遠隔で測定することにより、汚染源を特定し、効率的な除染や遮へいなどの対策に役立てることができれば、廃炉作業の一層の加速化につながるものと同機構では期待を寄せている。
ガンマカメラとは、放射性物質から放出されるガンマ線を捉えて可視化するカメラで、ピンホール型とコンプトン型とがある。ピンホール型は簡便な構造だが、鉛などの遮へい材が厚く大型で数十kgと高重量なことから、狭あいな作業現場では不向きだ。一方で、技術的に高度なコンプトン型では小型・軽量化の実現が可能だ。原子力機構ではこのほど、高線量環境でも測定可能なコンプトン型の小型軽量ガンマカメラと、これを用いた放射性物質分布の可視化技術を開発し、実際に福島第一の建屋内で実施した測定試験により、表面線量率が数mSv/時の局所的な汚染(ホットスポット)を迅速に可視化し、それを3次元的に表示・確認できたことから、現場利用の目処が得られたとしている。
このほど開発したガンマカメラは、約680gまでの小型軽量化を実現しており、原子力機構では今後、福島第一の建屋内でドローンやロボットに搭載して遠隔で詳細な3次元汚染分布が把握できるようさらに研究を進めていきたいとしている。