福島第一廃止措置中長期ロードマップが改訂、使用済み燃料取り出し時期は先送り
福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた中長期ロードマップが9月26日、およそ2年ぶりに改訂された。9月1日に政府の対策チームが示した原案に基づき、関係閣僚会議で決定されたもので、「ステップ2完了(2011年12月の事故収束に向けた道筋の報告書決定)から30~40年後」の廃止措置終了を目指すとする廃炉工程全体の枠組みは維持。
使用済み燃料プールからの燃料取り出し開始時期については、1、2号機が2023年度目処(従前のロードマップでは2020年度)、3号機が2018年度中頃(同2017年度、2017年1月に2018年度中頃との見通しが東京電力より示されている)と、各号機とも先送りとなった。汚染水対策については、従前のロードマップ通り2020年内に建屋内滞留水の処理完了を目指す。
また、燃料デブリ取り出しについては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が8月末に公表した技術戦略プランを踏まえ、原子炉圧力容器内部に存在する燃料デブリは気中で、原子炉格納容器底部にある燃料デブリは部分的に水に浸かった状態で切削する「気中工法」を軸足に、小規模なものから、作業を柔軟に見直しながら段階的に拡大していく「ステップ・バイ・ステップ」で進めることとしている。従前のロードマップで2018年度上半期であった初号機の燃料デブリ取り出し方法の確定時期は2019年度内とされたが、取り出しの開始時期は2021年内で変わっていない。
中長期ロードマップの改訂を受け、東京電力の増田尚宏・福島第一廃炉推進カンパニープレジデントは、記者会見に臨み、引き続き地域の方々とのコミュニケーションや、作業員にとって働きやすい環境作りに努めていくとしたほか、「事故を起こした当事者として、改訂されたロードマップに基づき、責任を持って廃炉に取り組んでいく」と決意を新たにした。