高レベル放射性廃棄物地層処分、「科学的特性マップ」提示で意見交換会始まる
高レベル放射性廃棄物の処分地選定に向けて7月に公表された「科学的特性マップ」について説明し、全国的に理解を深めてもらう意見交換会(主催=資源エネルギー庁、原子力発電環境整備機構〈NUMO〉)が10月17日、東京を皮切りに始まった。意見交換会は、18日には栃木、19日には群馬と、全国各地で順次開催される予定。開会に際し、資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課長の小林大和氏が挨拶に立ち、「高レベル放射性廃棄物処分は将来に先送りできない、原子力の恩恵を受けてきた我々の世代で道筋を付けるもの」と、問題の重要性を述べた上で、「科学的特性マップ」提示を「長い道のりの最初の一歩」として、さらにきめ細かな対話活動に努めていく姿勢を示した。
「科学的特性マップ」は、地層処分に関する地域の科学的な適性を4区分に色分けしたもので、社会科学的な観点は含めておらず、初回の会場となった東京の都市部も、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」地域として区分けされている箇所がある。
意見交換会ではまず、地層処分の必要性や処分方法、安全性、関連施設のイメージ、処分事業のプロセスなどを、CG映像で分かりやすく紹介したビデオ(NUMOのウェブサイト こちら より見られます)が上映され、総合資源エネルギー調査会のワーキンググループにも関わり地質学が専門の山崎晴雄氏(首都大学東京名誉教授)が、地層処分に関する安全確保の考え方について説明するなどした。
また、小林氏は、高レベル放射性廃棄物の取扱いについて、「しばらく地上に保管して新たな技術開発を待った方が良いのでは」という見方があることに対し、地層処分の場所や技術・人材を確保するための時間軸などを見据え、「単に地上保管を続けることで、地層処分という選択肢を将来世代から奪ってはならない」と、「世代責任」の考えを改めて強調した。
全体説明に続き、参加者たちはNUMOの職員らとともに数名ごとのグループに分かれて着席し、質疑応答を行う形式となった。参加者からは、社会的要素を含めたマップの早急な提示を求める意見や、地層処分の技術や安全性について、幌延深地層研究センターを見学した経験から「まだわからないことがあるのでは」という疑義、最近の日本原燃におけるトラブル発生などから「まず原子力に対する信頼ができていない」といった懸念も聞かれた。
意見交換会は下記日程で開催予定。申込みは、NUMO特設サイトをご参照下さい。