原産協会プレスブリーフィング 韓国の脱原子力政策に対する同国内の懸念の声など紹介
高橋明男原産協会理事長は10月26日、メディアを対象とした定例ブリーフィングを行った。
まず10月17日に発出した理事長メッセージ「韓国および台湾の脱原子力政策~日本の産業界が取り組むべきこと」について言及した。同メッセージでは、16日に原産協会が開催した日韓原子力専門家会合で、韓国の原子力産業界や学術界から同国で6月に発表された文在寅政権による脱原子力政策を懸念する声が聞かれたことから、同じく1月に2025年までの脱原子力を法律で定めた台湾の例も挙げながら、日本の果たすべき役割について考えを述べている。ここで高橋理事長は、日本は原子力発電所の安全性に対する近隣諸国および国際社会の懸念を払拭するため、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗はもとより福島の復興状況や、福島県産の食品の安全性を世界に発信していく責務があると強調。また日本の原子力産業界は、世界から注目されていることから、国内の原子力発電所の再稼働を着実に進め、安全運転の実績を積み重ねることによって信頼回復を図る必要があると語った。
その後の質疑応答部分で高橋理事長は、韓国のエネルギー事情をふまえ、「現実的に原子力発電分を何で置き換えるのか示すのは難しいと思う」としながら、今後も注視していきたいとした。また、日本でもエネルギー基本計画の議論が始まったことに関し、「原子力発電所の建設には事前の環境審査や設置許可申請も含めて10年以上もの時間がかかる」と原子力政策には長期的視点が必要であることを説明した。